経験したことを効率よく今後に活かすための方法

人間は、誰しもが人生を生きていく上で、成功や失敗を経験していくものです。

そして、経験したことから学び、今後に生かしていくことができます。

今回は、どのようにすれば経験したことを効率よく今後に生かしていくことができるのか、紹介していきます。

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1.経験学習とは?

『経験学習』ということばを聞いたことはありますか。

経験学習とは、実際に自分が経験した事柄から学びを得ることを指します。

経験学習理論は、デイビット・コルブというアメリカの教育理論家によって提唱されました。

人材育成において経験学習の考え方や概念は必要不可欠であり、会社の研修などにもよく取り上げられます。

人間の能力を開発するためには研修やトレーニングが大切です。

しかし能力開発の大半は、実際の現場での経験によるものだと考えられています。

人間が成長するためには、「自分の経験からの学び」「他者の経験やアドバイスからの学び」「研修や書籍からの学び」の3つの要素がありますが、「自分の経験」から7割、「他者の経験やアドバイス」から2割、「研修や書籍」から1割学ぶ、と言われています。

この数字から、「自分の経験」からの学びの影響が、いかに大きいかが把握出来ます。

しかし、単に沢山経験をすればその分成長出来るという訳ではありません。

経験を次にどう活かすのかというプロセスが重要です。

そのプロセスを理論化したものが「経験学習モデル」で、「自分の経験→リフレクション→一般持論化→新しい状況への応用」の4つの項目で構成されています。

この経験学習モデルの4つのプロセスを繰り返すことで、学び成長し続けることが出来ます。

2.経験学習モデルの4つのプロセスについて

経験学習モデルの4つのプロセスについて、具体的に説明していきます。

①自分の経験(具体的な経験をする)

1つ目は、実際に具体的な経験をすることです。

自分で行動し、自分で考えて、自分でその結果を受け入れることで、沢山気づきや考えが発生します。

特に、自分では事前に予想が出来なかった結果(成功・失敗)をもたらしたエピソード(経験)に注目することで成長につながります。

よくある失敗は、体験していないのに、分かったつもりになって机上の理論を展開することです。

これを防ぐためには、「現場」に足を運びその場を確認し、「現物」を手に取りその物を確認し、「現実」を直視して事実を知る、という「三現主義」で考えると物事の本質を掴むことが出来ます。

②リフレクション(何が起こったかを多様な観点から振り返る)

2つ目は、経験を様々な視点から振り返るという作業です。

予測しなかった結果(成功・失敗)の理由や背景について、色々な角度から考えてみます。

陥りがちな誤りは、振り返らないことです。

経験に向き合うことを面倒くさいと感じたり、時間が無いなどの理由によって、振り返る時間を作らないのは本当に勿体無いです。

とくに失敗した時や自分の希望とは違った結果になった場合、その経験の振り返りを避けがちです。

しかし振り返りを怠ると、以前と同じ行動や失敗を繰り返すことになります。

また振り返るときに、毎回同じ視点や価値観で物事を捉えると、新しい考えや気づきは発生しません。

有効な手段は、自分自身に「質問」することです。質問には自分の脳を活発に働かせる作用があるので、その答えを考えることで経験を直視し、向き合うことが出来ます。

自問自答以上に有効なのが、他者のサポートを利用することです。

「アクション・ラーニング」は現実の問題を提示し、グループでの振り返りを通じて解決策を立案・実施する方法です。他者は質問するだけで具体的なアドバイスは実施せず、本人は質問に答えるのみでそれ以外を語らないのがルールです。

③一般持論化(他の場面でも応用出来るように経験を概念化する)

3つ目は、自分の経験から内省した内容を、他の状況でも活用出来るように概念化し、将来自分や他の人が使えるように教訓(持論)化することです。

陥りがちな誤りは、概念化しないことです。

振り返りは行うものの概念化まで実施しないと、新たな事態に活かすことが出来ず、応用が効かずに終わってしまいます。

この一般概念化のやり方は具体的なエピソードが無いと説明が難しいので、後ほど説明します。

④新しい状況への応用(新たな場面で実際に試してみるという実践)

最後の4つ目は、一般概念化した理論を今後どう活かしていくのか、という意気込みです。

一般概念化により生み出した「理論」は、実はまだ仮説の段階です。これを新たな場面で実践する前に検証、手直しする作業が必要です。

陥りがちな誤りは試行しないことです。

これまでの実績で成功し、以前から信じている「勝ちのパターン」にこだわり過ぎて、失敗などの経験からつかみ取った新しい理論を意図的に避けてしまうことが多いです。

まずは勇気を出して新しい理論を実践してみることが大切です。

もちろん、理論は100%正解ではありませんが、不具合に気づいて手直しを行って成長させるためにも、試してみることが重要です。

3.経験学習モデルの具体的なエピソード

具体的なエピソードを用いて、「自分の経験→リフレクション→一般持論化→新しい状況への応用」の手順を説明します。

ここではイメージしやすいように、具体的なエピソードを1つ用意しました。

以下のとおりです。

①経験

高校の部活でレギュラーメンバーに任命された。

僕はそのスポーツを高校から始めた未経験者であり、同じ部活内には小学校や中学から始めた経験者が沢山いた。

しかし、その人達を差し置いてレギュラーに選ばれてしまった。

僕は自分の実力に自信が無かったし、他の部員のひんしゅくや僻み・妬みが怖かったので、顧問に辞退を希望した。

その時に「僕はこのスポーツを高校から始めた未経験者だし、運動神経は生まれた時から持っている才能だから、出来る人と出来ない人が最初から決まっているはずです。僕は才能が無いのでレギュラーを外して下さい。」と顧問に申し出た。

すると、顧問は「私は、その人が今出来ないからと言って、今後もずっと出来ないだろうと、決めつけたくはないんだ。確かに、立場上レギュラーメンバーを選ぶ際に能力で判断しなければならないときはある。私は顧問だからね。

でも、人間いつ、やる気のスイッチが入って、すごく頑張って努力して、急激に成長するかは誰にも分からないよね。

本人自身にも分からないと思う。

君は部員の中で誰よりも早く朝練に来ていて、放課後は誰よりも遅く残って練習していて、帰りの電車の中でもスポーツの本を読んで勉強しているよね。

練習時間や技術の勉強が部員の中で一番長く、努力しているのを知っているよ。実力はまだまだだけど、これから成長する可能性が高いと判断して、レギュラーメンバーに選んだのだよ。」と言われた。

僕はこの言葉を聞いてこの考えに感動し、同時に顧問が自分の行動をよく見てくれたことをとても嬉しく思った。

そして、顧問の期待に応えたいと思い、今まで以上に努力して技術を身に着けた。

②リフレクション(経験から学んだことや自分の中での内省)

残念ながら人間は能力の差もあるし、得意不得意もある。

ただ、ある日突然、何かがきっかけでスイッチが入り、急激に成長する可能性がある。

これまでの経験や経歴、能力で今後の可能性まで切り捨ててはいけない。

また、レギュラーを選ぶ際には現段階の能力だけでなく、今後の成長の見込みも考慮して選ぶ必要がある。

③持論化(内省で学んだことを一般概念化し、他の状況でも応用出来る考え方にする)

経験から学んだことを、他の事柄にも応用できないかということを考えてみましょう。

今回の経験から「人間はいつ、何がきっかけでやる気スイッチが入り、どう成長するかは分からない。また、成長の可能性は無限大である。」ということを知ることができました。

このことを「全く別の分野にも適応できるのではないか」と考えるのです。

1つの経験を、あらゆる分野、あらゆる場面で適応できる可能性があります。

④新しい状況への応用(今後どう生かすか)

上記③で考えた持論を、実際に実践してみましょう。

今回の例でいくと、「苦手なことも、自信が無いことも、成長する可能性があると信じて、やる気スイッチを入れて全力と取り組む。」ことで新しい扉を開くことができるかもしれません。

学んだことを「実践すること」が大切です。

まとめ

経験したことを効率よく今後に活かすための方法は、下記のとおりです。

  • 具体的な経験をする
  • 何が起こったかを多様な観点から振り返る
  • 他の場面でも応用出来るように経験を概念化する
  • 新たな場面で実際に試してみるという実践

上記のとおりです。

これらのポイントを抑えることで、全く別のことと思える話でも、応用させることができるのです。

せっかく経験したことを、今後に生かさない点はありません。

意識しておくだけで違うので、覚えておくと良いでしょう。

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